2017/11/18

Classical Spectacular(クラシカル・スペクタキュラー)に見るイギリスの愛国心



先週末の11月17日にRoyal Albert Hall(ロイヤルアルバートホール)で開催された Classical Spectacular (クラシカル・スペクタキュラー)に行ってきた。


実はモリッシーのチケットを取ろうと思い会場のサイトを見ていたのだが、高価なボックスシートしか残っておらず、では他に何か面白そう公演はないかな~?とサーチしていたら、なんとなく発見。


このクラシカル・スペクタキュラー、正式なクラシックコンサートというよりは、有名どころの曲を単発演奏しながら、レーザー光線やラインダンスが加わるという、なんともエンターテイメント系の催事。




この会場となるRAH(ロイヤルアルバートホール)では、毎年夏にBBC主催のProms(プロムス)という2ヶ月ほど連日続くクラシックコンサートがあり、そのプロムスの最終日は観客が総立ちになりイギリス国旗を振りながら大合唱と、大変な盛り上がりを見せることで有名なのだが、ダンナさん曰く、このクラシカル・スペクタキュラーも似たようなノリらしい。




Land of Hope and Glory - Last Night of the Proms 2012
こちらがそのPromsの最終日に盛り上がる「希望と栄光の国」大合唱の様子



そうか、ダンナさん、そんなに国旗振って愛国歌を歌いたいのか~、とちょっと複雑な気持ちになりながらも、当日寒空の元テクテクと会場へ向かい、人生初めてのロイヤルアルバートホールにワクワクしながら会場中を観察すると、とある事実に気が付いた。

あ、ここに集まっている人達は9割がたイギリスの白人だ!
しかも、年齢層が非常に高く、ジジババ様方は先の大戦経験者ではあるまいか?

普段は、周囲の半分以上が有色人種か外国人という環境で生活しているせいか、イギリスに住む日本人移民でありながらも、自分自身が「マイノリティである」自覚はあんまり持たずに済んていたのは事実。

が、このクラシカル・スペクタキュラーに来て、渡英5か月目にして初めて、「うわ、私ガイジンや~、むちゃくちゃ浮いてるやん!」という居心地の悪さを一瞬感じた。

でも実際は、会場で出会ったり接する人達の殆どは、いかにもジャパニーズの私に対して、とても親切で暖かかったりするのだけど、それでも否めない「なんとなく一緒になってハシャイではいけない」ような感じ。

 むむむ、なんだろう?この感覚?と心の端でムズ痒い思いを抱えながらも、3時間ほどのクラシカル・スペクタキュラーを堪能。



Classical Spectacular 2017
こんな感じのエンターテイメント仕立てなクラシカル・スペクタキュラー


最終演目では、やはり予定通りにエルガーの「威風堂々」が流れ、既に会場は熱気でムンムン。そして第二番の「希望と栄光の国」になると、会場中にはイギリス国旗のユニオンジャックの3色(赤青白)をモチーフにしたレーザー光線が華やかに交差し、観客全員が総立ちで国旗を振りながら大合唱。

私自身は一緒になって合唱するよりも、なんとなく周囲や会場中を観察。偏見とかジャッジメントとか抜きにして、老若男女が皆楽しそうに、そして誇らしげに、このイベントを楽しんでいる姿がすごくいいなぁ、と素直にそう感じていた。

私はイギリス人じゃないし、イギリスの歴史自体には非常にシニカルな意見を持つし、西洋の大国と極東の日本との関係については思う事多々あるけれど。

それでも、七つの海を支配した大英帝国の歴史と伝統に誇りを持ち、愛国心を素直に持つことができ、それを表現することも許されるし、周囲と分かち合うことすらできる、この会場にいる何千人のイギリス人達がうらやましく思えてきた。

あ、もしかしたら、私が感じた違和感は、これなのかな?

私の生まれ育った日本という国は、何故か愛国心を持つことが罪であるような無言の圧力がある。日の丸国旗を掲げることや、靖国神社への参拝や、国歌を歌う事すら咎められるような気配だ。

もし日本で、このクラシカル・スペクタキュラーのように、歴史あるコンサート会場で日の丸国旗を振りながら愛国歌を大合唱するような催事があったら、どのくらいの非難を受けるのだろうか?

なんてことをね、ボンヤリと思っていたのでありました。


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